唇にひっきりなしに熱が与えられる。息を継ぐ暇はなく苦しくもあるがそれくら
いが丁度いい。女のように優しく扱われてもどう返していいか分からないしそんな
ことは端から望んじゃいないしそれしきで壊れる体でもない。腹の底から全てを暴
き立てられる感覚は慣れてしまえばいっそ気持ちがいいほどだ。実際気持ちはいい
がそれを言うのは癪だし調子に乗って箍を外させるだけなので言わないでいる。お
互い毟り取るように服を剥いでどこにも余裕なんてない。耳を食まれて思わず体が
震えた。見た目よりも硬い髪質の頭に手を差し込んで髪越しにその肌を触りながら
徐々に背中へと手を移す。いくつかの知らない傷と俺のつけた傷、それから浮き出
た肩甲骨に触れてそれから背骨を一つずつたどって下へ下へ。その間も銀時の手は
俺の感覚を引きずり出そうと忙しく動いている。
カーテンから漏れる明かりは人工的で悪趣味なピンク色でちかちか瞬き安普請の
建物は壁が薄いらしくわざとらしい女の喘ぎ声が漏れ聞こえてひどく滑稽だ。軋む
ベッドに揺られながら快楽という一過性の感覚を追いかけて幾度も意味のない行為
を繰り返す。舐めて、追い立てられて、突っ込まれて、吐き出して、呻くように喘
ぐ。生産性は皆無。時折この関係性のあまりの滑稽さにグロテスクささえ覚えてい
っそ俺が女で、奴の子を孕んでしまえば訳の分からない焦燥感に駆られることもな
いのだろう、と、思いついた瞬間俺はこいつを束縛したいのだと自覚してひどく馬
鹿馬鹿しくなった。何よりも俺が馬鹿馬鹿しい。そもそもが永遠なんて望めやしな
いのに何をしたってこいつも、俺も、明日またここにいられるかすら分からないと
いうのに。肌をなで上げる手はいつだって腹の探り合いだ。薄皮一枚隔てた体に触
れてもどこにあるとも知れない心に触れることなどできないというのに。焦燥感の
正体は不安だしどちらもめったに確信を口に出さないから余計不安定な関係になっ
ていることは分かっている。それでも、ひりつくくらいでないと物足りない。安定
してしまってはつまらないのだ(つまらない、とは少し違うかもしれない)。永遠
に俺に触れていたいのなら、そうやって必死に俺を求め続ければいい。俺も奴も哀
れな恋愛をしていると思った。
お互い一度達してから銀時を押し倒して上に跨る。後ろ手に擦りあげて力を取り
戻したそれを見せ付けるようにいれてゆく。銀時が息を呑む。奥まで受け入れて一
息つこうとしたが息がどうにも整わない。うっすらと目を開けて余裕のない雄の顔
を見下すとぞくぞくして思いがけず微笑むと俺の中で奴が膨らんだのが分かった。
何事か呟いたらしいが俺の耳には聞こえない。そうぜつ、と唇が動いたような気が
した。不意に突き上げられて声が漏れる。女のような声だと思った。視界の端に奴
が笑っているのが写って腹が立って仕方がない。畜生調子に乗りやがって。自分で
動いて快感を追うが時折タイミングをはずされて衝撃に息が詰まる。体の中を容赦
なくかき混ぜられる感覚に身をゆだねると何も考えられなくなってゆく。なにもか
もを引きずり出されそうだ。愚かな幻想さえも。ばか、やめろ、言語は全て意味の
ない音になって勝手に漏れる。舌がしびれて何も言えなくなるのはきっと昨日煙草
を吸いすぎたせいだ。俺の汗が落ちて銀時の肌を伝う。何も考えられないのにそん
なところにばかり目がいってしまうのは何故だろう。
歓喜で体中が震える。
目の前が白くなる。
そして、スパーク。
ひどく短い。初エロゥ(恥ずかしい!)